角松敏生 SEA IS A LADY日記7

角松敏生

Takuです。今日はこのブログ記事を書いて終わりにしておきます。

先ほどの、カラオケのブログ記事にも登場した角松敏生のメルマガ「拡散依頼」をやっていきます。

初日の神奈川県民ホールがどれくらいのお客様で埋まるか気になりますが、北海道が地元の私は、札幌のわくわくホリデーホールもどれくらいのお客様で埋まるか、注目しています。

SEA IS A LADY日記7

皆さんごきげんいかがですか?角松敏生本人です。

こちらの都合で数日更新滞りまして失礼しましたぁ!SEA IS A LADY 日記再開です。

地方キャンペーンが始まりいよいよ発売間近な空気感になってきましたね!

生放送でいち早く新譜からのオンエアを聴いた方からの熱いリアクションも始まりました。ということで!はい!キャンペーンに伴う情報発信や、ファンクラブ会報原稿流出事件(笑)などで、中断していました、レスポール探検隊日誌。お待たせしました!こちらも再開です。

今回のツアーでの使用に向けて、角松敏生史上初のレスポールを、一般店舗のつるし(量販モデル)の中から「当たり」を探し出して購入しよう!という試み。

レスポールタイプギターの奥深さ、その歴史の真実とは?また、オリジナルヴィンテージを研究し尽くした、現在のGIBSONが誇るTRUE HISTRICというシリーズの精度とはいかなるものか?など、研究、予備取材をこの数ヶ月行いました。

その上で僕のギターテック松山さん、ギタリスト鈴木英俊さんにオブザーバーとして参加していただき、楽器の迷宮、神保町に繰り出した!という顛末をお伝えしております。

題してレスポール探検隊日誌!その3

クロサワ楽器渋谷店の「I」氏という頼もしいガイドのもと、クロサワ楽器GIBSON専門店G-clubTOKYO御茶ノ水に潜入した我々は「I」氏お奨めTRUE HISTRICエリッククラプトン監修モデル150万円也を試奏、その出来の良さに感嘆しましたが、自分自身が感じるわずかな違和感から、他のも試したい!という流れになった、というところまでお伝えしました。

そりゃそうです。予算100万円前後という設定、買った後でやっぱり違った、というわけにはいきません!

僕が求めている一番の条件は、手の小さい僕にフィットする個体。

100万前後の商品は量販商品と言っても、ビルダーが一本一本、手作りで仕上げる逸品。数は限られているわけです。

しかし、「I」氏が何度も言うように、それでも個体差があるわけですから、その中でどうやって自分との出会いモノを見つけるかは、もう、試奏に試奏を重ねて感じるしかないわけです。

ネックの握りも同じ60年代リイシューが一番細身なのですが、微妙に一本一本、違うわけです。

そこで「I」氏が次なるモデルを提案。クラプトンモデルと同じ1960年製のリイシューTRUE HISTRIC、ダークサンバーストの個体。ちなみにモニターはフェンダーのアンプとフラクタルのラインをミックスして両方を聴き比べます。ダークサンバーストの個体はエリックモデルよりも握りが細かった。お!と、初めて感じた。

音は、どうか?実際の年代の最上の当たりを再現した、という触れ込み通り、本体の持つ木の鳴りの確かさは、エリックモデルに負けず劣らずたいしたものでした。

あとは電気的にピックアップを通した音色だが、正直、ピックアップの優劣はプロの耳でも判別はし難い。

このころのリイシューに搭載されたピックアップは、いわゆるハムバッキングマイクというやつで、レスポール独特のものではあるが、結局様々なフレーズを何度も何度も繰り返し弾いて、違いを拾い上げるしかなかった。

もしかして、これはいいかもと思い始めた矢先、鈴木隊員が、「あーこれいいなぁ、僕だったらこれ欲しいな」と、言い出したのは、壁に掛けてあった同じ同じく60年リイシュー、レモンイエローの個体。

「なんで?」と聞くと、「色が好きだから。黄色好きとしては」

それカァ~~い!!と、思いながらも、形から入るというのはギターキッズの基本。もしそれで当たりならそれもアリか・・・と思い。「I」氏 に、じゃ、それも弾かせてください。(我ながら、弱ぇ~~信念無ぇ~~)

で、弾いた感想は・・・値段が同じくらいなので、微妙な違いしかなかった。しいて言えば、イエローよりダークサンバーストの方が、ネックが細いと感じた。だったらまぁ僕は黄色にこだわっているわけじゃなし・・・と、思いながら、クッソ~~また迷わせやがって~と、思ったので、「鈴木くん、エリックとダークサンバーストとイエローと弾いてみて!で、感想聞かせて」と、お願いした。

そして鈴木隊員はマイワールドにはまり、その三本の個体を代わる代わるひたすら、弾き始めた。待ち時間もなんなので、その間、僕はもう一つの懸案、レスポール初期のシングルコイルピックアップ、P90の音色の検証に入ることを決めた。

その旨を「I」氏に伝えると、まずは、最近のラリーカールトンのライブ映像でもちょこちょこ見かけるレスポールスペシャル、このなんと!59年製のオリジナルがG-clubに入荷しているという情報。

もっともそれはネットで知っていたのだが、その個体をついに体験できる機会に恵まれた。「I」氏が、これです、と、手渡してくれた。

黄色いパステルカラーに黒いピックガードのそれは、紛う方無き本物。初期のレスポールにも搭載されていた、本物のP90である。おまけにヴィンテージにしては、お買い得の100万円ちょい。

音、というニーズで考えるなら、まさに僕が欲しているのはこれに違いないはず。心して弾いてみる。70年余の歳月を経てきたその個体は、一体どんな歴史を見てきたのか?感慨が心を吹き抜ける。

しかし弾いてみて感じた率直な感想は、過日、渋谷店で弾かせてもらったレスポールジュニア(こちらは当時のスペシャルの廉価版でピックアップが一つのオリジナル59年製)の方が優れた個体だった。弾いてすぐにわかった。

確かに、枯れたいい音なので、感動する人もいると思うが、肝心のネックは、50年代ビンテージ特有の丸太ごんぶと。

指板、フレット、ペグ(糸まき部分)も手を加えられていて一応、プレイユースにはなっているが、自分の好みに合わせるには、多分名匠杉浦さんあたりにさらに手を加えてもらわないと使えないだろう・・・そういう個体でした。

それに100万投資は・・・無い!と、一応プロの僕は思うのでした。そして思わず「I」氏に訊いてしまった。最近の高級リイシューシリーズの中に、P90リイシューモデルはありませんか?

と。これが、さらなる悩みの始まりになるとはその時知る由もなかったが(苦笑)「I」氏が、出してきたのは、もうこれがまた、たまらん。

ラリーカールトンが70年代に弾いていた、50年代の初期のP90搭載のゴールドトップそれそのもののリイシュー完全再現個体TRUE HISTRICを二本も出してきやがった!

もっともマイケルフランクスのアルバム、スリーピングジプシーの中ジャケ写真でラリーさんが担いでいるのは、テルピースに何らかの細工をしているような個体で、完全な50年代の個体そのものではないのだが、基本スペックはまさにそれ。

一本は、テルピースが初期タイプ、もう一本はその当時の改良タイプ。初期タイプはいわゆるマニア受けを狙ったビンテージ仕上げ、を施されたもの。塗装などをわざと古めかしく仕上げたものだ。もう一本は新品のていである。

しかし、二本ともやはり現物に忠実なだけあってネックはごんぶと。抵抗感はあったが、実はこのごんぶとネックにも音に影響するそれなりの理由があるから仕方がない。音が太くまろやかになるとも言われている。

で、弾いてみると・・・音的には、大感動。二本とも素晴らしいわけです。おまけに両方値段は60万円台。これだ!まさにこれだ!予算にお釣りがくる!貯金できる!居酒屋程度なら一年分くらいの飲み代になる!

んなこたぁ、どうでもいいが、何しろ!感心したな。最近のリイシュー技術は職人技だ。

美術の世界で言えば、そうしたリイシューは優れた贋作、なのだが、今!実際に音楽で飯を食っていかねばならぬものにとって、こと、エレキギターにおいては!優れた贋作は本物を超えるのである!

即戦力にならぬ本物は博物館に寄贈すればいいのだ!と、まで思ってしまいました。

う~~~これが求めていたものかもぉぉぉ~と、感動していたら、先の候補、60年代ハムバッキングピックアップスリムネック三本の試奏を終えた鈴木隊員、「僕的には何気に、このダークサンバーストが好きでしたね」黄色じゃないんかぁ~~い!思わず心で叫ぶ。

さて、レスポールというギターの好みを云々言う場合、ジャズギターとして開発されながらロックギターの旗手になって行った歴史が常に問題となる。

それを鑑みて、さぁ購入するぞと、なった時、オリジナルのP90を持つべきか、それを改良する過程で生まれたハムバッキングを持つべきかという悩みにぶち当たる。

そうしてついに、僕は候補に上がった数本のギターの中から三本をさらに絞り込んだ。TRUE HISTRICシリーズの60年代のリイシュー、ハムバッキングピックアップのダークサンバーストの個体、そして50年代のリイシュー P90のゴールドトップ、テルピース違いと外観違いの二本、である。

その三本をじっと見つめ、よし!もう一度弾き比べる。入店からすでに2時間が経過していた。川口浩探検隊でいうなら、そろそろ水と食料が底をつき始めた!というところだろうか。

何度も三本を交互に試奏する。悩みは深くなるばかりだ。そんな時、鈴木隊員から一つの提案があった。「ここらで気分を変えてアンプ変えてみませんか?」

そう、彼は、僕が試奏中の暇な時間を使って店内に展示されている様々なアンプを試しまくっていたのだ!抜け目が無い!そして、僕のニーズを一緒に考えながら、次なる打開策(抜け道)を、探してくれていたのだ!

ありがとう!鈴木隊員(でもしっかり楽しんでやがるギターキッズ)

彼が提案したのは、あの、往年のアンプメーカー、ORENGE!知る人ぞ、知る!ロック野郎御用達のギターアンプメーカーだ。

アマチュア時代マーシャルアンプと並び高嶺の花だった機材。まぁ、そうだよな。ロックユースでレスポールらしさを知るには通常、マーシャルアンプで大音量?!などが定石だが、僕のようにクリーントーンに若干チューブで仕方なく歪みました系の音を欲しているものにとってある意味、ORENGEはありかも!だった。

さすが鈴木隊員。すでに彼の手によってそのアンプは僕のニーズに沿ったボリュームやトーンの設定になっていた。ギタリストだけにしておくには惜しいやつ!スタッフになったら今の倍稼げるんじゃね?と、思うほど痒いところに手が届く御仁だ!感動。

そして試奏パート2が始まる。ダークサンバーストの音は、いわゆる僕が知るレスポールの音だ。そしてネックも頃合い。

当然、これを購入するのが本来の趣旨なのだろうが、出会ってしまったP90の音色にやられた僕は困惑。そんな時、悪魔がやってきて囁くのだ。両方買っちゃえ~

いやいやいやいや、頭を何度もふりながら試奏する。そしてP90の二本、鈴木くん曰く、「こっちの古いタイプの方が好きだなぁ」確かに枯れた感じがよく出ていて音も太い。鈴木隊員おっしゃる通り。

さらに、見た目の古さ(加工による)が、なんか角松さんにしっくりくる!とか言うからまた悩む。ちくしょう、形から入るギターキッズの心得で揺さぶりやがってぇ~~!

おまけに、渋いもの好きのマネージャーKも、こっちの方がいいですよ、と。うーん、困った。

何故そこで苦悩するかというと、隊員たちの意見に反して僕が、おや?こっちの方がいいのではと思っていたのはもう一本の方だったからだ。こういう時が一番悩むよね。自分の意見が大勢と違った場合。

自分を信じるか。大勢を信じるか?ふと、入店以来粛々と機材セッティングをしてくれている、テックの松山隊員の方を見ると、ニヤニヤしながら機材の片付けなんかしている。

僕と目が合うと「う!見ないで!僕に訊かないで!」てな勢いで目をそらしやがる。ちくしょ~、ま、でも仕方ないわな。

自分で決めやがれ!だよなぁ・・うーーーん、最近、何につけ弱気になってる自分は大いに悩んだ。

そして、そのゴールドトップ二本をさらに試し弾きしたおした。様々な自分特有の好みのフレーズや手癖を試してみた。

すると、ますます、みんなが言う方じゃなくてもう一本のテルピース新し目、汚し加工なし新品見た目の個体の方が明らかに、音が「鳴っている」気がするのだ。そして次に僕は、鈴木隊員にも、もう一度三本の候補を弾いてもらった。

実は、彼を隊員に抜擢した理由は、彼のような名うてのギタリストに実際に演奏して各個体を鳴らしてもらって、それをお客さんの気分で聴く!という贅沢な個体テストをするためだ(笑)

弾き手としてではなく、聴き手としての体感も同時にしたいからだ。この客観性は非常に重要なのである!(笑)

その結果、ダークサンバースト100万円也はハムバッキングモデルとしては非常にバランスが良かった。そしてP90 。これはやはり甲乙つけがたかったので再び自分で試奏してみる。

そして発見した。汚し加工なし新品見た目の個体の方が、ほんの少しだけサスティン(音の持続時間)が長いのだ。

これは、とりもなおさず、木材本来の鳴りが優れている「当たり」の個体であることの証左に他ならない。鈴木くんにそれを告げると彼自身も、もう一度試奏、アンプを通さない生音でかき鳴らす。

そして、「そうですね、おっしゃる通り、わずかにこちらの方が、本来の鳴りがいいですね。」でっしょぉぉぉ~~~!と、心の中でガッツポーズ!

そうして、ついに!最終的に二本の個体に絞られたのだ。時間は入店後3時間に迫っていた。タイムリミットに近い。大食いの隊員たちがこのままでは餓死してしまう!早く決めて購入(捕獲)しなければ!

天を仰ぎ逡巡する僕。目を閉じる。次の瞬間、くわ!と目を開いた僕はクロサワ渋谷店からわざわざ出張してきてくれたインディオ・・・じゃない、店員さんの「I」氏に告げた!!

レスポール探検隊日誌最終回に続く・・・!

PS・(レスポールの話はひとまず次で最終回っちゅう話ね・笑・日記はツアー初日まで続くぞ)

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「TOSHIKI KADOMATSU Official Mail Magazine Vol. 258発行」より転載

角松敏生

Posted by Taku